2007年11月18日

柏の未来を考える

柏“まちデザイン”サミット
柏“まちデザイン”サミット posted by (C)scrapbook

17日に柏商工会議所の主催で「柏“まちデザイン”サミット 未来が見える!柏が変わる!」が開催された。
来場者は商工会議所関係、役所関係の顔ぶれが目立っていたように感じたが、いわゆる一般市民も少なからずいたようだ。

第1部の柏市長の基調講演は、柏市民にとっては特に目新しい内容ではなかったが、柏を中心とした地域に11の大学があり、これは都内にも比肩しうるものであることをことさら強調されていたように感じる。
確かに、毎年6000人を超える学生が柏という街と何らかの接点を持つということは、柏の未来に何らかの影響をもたらす可能性があるかもしれない。
しかし、彼らに期待をするにしても、前提として「現在の柏」が彼らにどう受け止められているか?ということが大変重要なことであり、その点で、未来に向けて現在の人間がどのような努力をしているのか、そちらの方はあまりよく見えなかったように感じたところに物足りなさを感じた。
人を集めれば彼らが勝手に街をつくるだろう、的な発想が若干感じられて、違和感を覚えた。

第2部は、おなじみの西川りゅうじん氏がコーディネーターとなり、東日本旅客鉄道(株)の新井良亮氏、森ビル(株)の森浩生氏そして鹿島建設(株)の山口皓章氏がそれぞれの仕事を紹介し、それらの視点から柏について語った。
全般的には西川氏のしきりが少々くどい感じがして、もう少しパネリストの話を膨らませていただきたかったように感じたが、「柏の広告塔」という立場としてはいたしかたない部分もあるのだろう。

新井氏は鉄道会社として柏という街の位置づけをよく見ており、柏の発展が鉄道を前提としたものであり、それが将来においても強みであり、逆に大きな弱点でもあることを暗に露呈していたように感じる。
JR柏駅周辺の市街地は、鉄道の強みを活かして、それだけでない新たな魅力づくりに苦心しているが、ある部分成功し、ある部分未だ全国に発信するには未成熟であるところも多い。
常磐線の東京駅乗り入れを引き合いに、より街側の努力を促す彼の言葉を、どれだけ柏の聴衆が危機感をもって受け止めたのかが気がかりである。

森氏は六本木ヒルズなどの事例を通して、仕掛け側のスタンスを語っていただいた。
3名の中では最も今回のパネルディスカッションを盛り上げてくれた方であるが、彼のコメントは、柏を客観的に見ると、柏に関わらない多くの人が柏に持つイメージを最も代表しているものであろうと思う。
街の色を何色にするか?もし今後も商業的な繁栄を持続させていこうとするならば、現在の再開発の手法はいかに「とんがった」一面を持ち目立つか、ということになるが、しかしそれはあくまで消費を前提とした発展の延長上にあり、どんなに頑張ってもいずれ時代遅れになり廃れていく運命は変わらない。そうならないために、街のイメージを変え続ける、すなわち、街のイメージを消費し続けなくてはならないが、柏のような生活を前提とした街において、それが柏地域全域のまちづくりの主流であるべきかは疑問が残る。
柏駅周辺の極めて限定されたエリアにのみに通用する理屈で、柏全域を語ることは非常な危険を伴うように感じる。

山口氏は秋葉原UDXの開発の経緯を紹介し、再開発の手法として既存の街と共存するために、街にないものを加えていくことにより、街といっしょに相乗的に発展していくことが重要であることを語っていただいた。
秋葉原のような極めて特異な街に入り込むことは非常に難しいが、この場合まちづくりの手法としては、極めて単純化すると、既存の街の強みを増強・補強するか、既存の街に不足してる面を付加するか、いずれかの方法を選択することになる。
増強・補強は、強固な街のイメージをより強める役割を果たすことになるが、ひとつ間違えると既存の街と同じパイを食い合い衝突を引き起こす危険性がある。一方、既存の街に不足している面を付加することは、街の体力を向上させるメリットが考えられるが、逆に街のイメージがぼやけてしまう危険を伴う。
秋葉原UDXは、言い方に語弊があるかもしれないが、秋葉原という極めて強い個性が、たかだか一つの再開発により弱くなることがないであろうという判断が前提としてあったため、このようなコンセプトで企画されたように思う。
柏においては、現時点において未成熟な街のイメージをまずどうするかを考えなくてはならない段階であり、仕掛けの方向性のさじ加減が難しい時期であろうと思う。

柏において現在求められるのは、各地のあれはいいこれもいいというつまみ食い的な陳腐な発想ではなく、柏に愛情を持った上で、地域の強みと弱みを理解し、ミクロ的な視点とマクロ的な視点を併せ持った仕掛けをできる人間をいかに増やすかということであり、そのような芽を育てるという点で、このような日本のトップを走るような事例を知る機会を持つことは大変重要であろう。
そういう意味では、もう少し参加者との意見交換ができる場があった方がよかったと思うが、このようなレベルのすべての市民に開かれた場が、少なくとも年に3回は必要であろうと感じた。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kashiwacity.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/135